ここに未来ある若者がいるとする。
都会を知らぬ、純朴な。
その者は才気に溢れ、人柄も良く、情に厚い男だ。
彼はこれから社会に出る身である。そして都会へ出ていく。
世知辛い社会の喧騒の中で、果たして彼は自分を殺さずに成長し続けられるのか。
試されることは数多い。
結果として、ターンすることになる可能性もあるだろう。
そうなった場合、彼を含めて、周囲の皆は後悔しないだろうか。
今、現実的に考え、迫り来る未来に対する喜びと恐れ。
それは確実に、着々と音をたてずに忍び寄って来ている。
真綿で首を絞められているのか、それとも暖かい真綿にくるまって眠りに落ちているのか、その境目すら認識出来ていない。
そんな風に思うのなら、その予定自体を失くせば良いのではないか、と言う疑問も生まれるかもしれないが、そうはいかない。
今年に2回目の恒例の儀式。
セレモニーなのかアニバーサリーなのか、はたまたイニシエーションか。
私には厳密なことは言えない。
先付けは平目の刺身。
醤油も普通じゃない。
寒い時期で身の締まった平目の甘さ、が伝わる。
久し振りに飲む瓶ビールで喉を潤す。
秋田弁で言うところの「ヒロッコ」
アサツキの若芽。
一般人が調理すると、固過ぎたり、柔らか過ぎたりしてしまう、調理人泣かせの食材だが・・・。
それとアカメフグのぬた。
流石店主。
やってくれるぜ。
しゃきしゃき、かつ一発で噛みきれる。
秋田弁で言うところの「ダダミ」。
真鱈の白子である。
にかほ市の特産で、雄一匹、幾らなのか考えたくもない値段。
しかし、「白子を、中心がレアの状態で揚げることが出来る」ここの店主ははっきり言って、化け物ですッッッッ!!!!
因みに食った瞬間爆ぜて、左の口内の皮が無くなったのはご愛敬だ。
・・・・・・・・・
ウニ警報出ましたッッッッ!!!!!
実はコッソリ一欠片食べたのは内緒(ショナイ)でお願いしたいものだ。
何故、ムカゴとはこんなにも豊潤な香りがするのであろう。まさに大地の息吹。
これが自然薯になろうとは夢にも思わないが、とにかくホッコリ食感と甘さ、これに尽きる。
このメゴチが凶悪な一品。
何もつけずに食べるのが、やはり一番旨い疑惑はさておき、松葉型に包丁が入ったこの悪魔顔の魚が、こんなにも上品な味になるのか、と戸惑うばかりである。
視覚でも十分に認識できる「十分に火が通った生」。
噛む度に複数の味わいを堪能することが出来る訳だ。
それは今まで紹介してきた全てに言える事である。
ごちそうさまでした。
結局何が言いたいのか、と言うと「満足のいく時間も悲しいかな終わりがきてしまう」と言うことだ(分かり辛えッッッッ!!!しかも前半の若者の比喩、ちょっと違うし!)。
何とも回りくどく講釈を垂れたが、この天ぷらタイムは終わってしまうのがとても残念。
しかし、美味かった・・・・・・。
以前の記事で他の天ぷらはのせているので、今回は必要最低限におさめた。
ナイス天ぷら、ナイスみかわ、以上である。
もらった天かすをどう使うか・・・、その楽しみも非常に大きい。
焼きそば、炒め物、粉物、何に使おうか・・・。
しかし、アバラ早く治れ・・・。