スタンダードか限定か。
この問題はラーメン野郎共、にとってはなかなか、如何ともし難い命題の一つである。
秋田には「初代麺屋とのさき」
と言う「限定無双」をする、秋田市最強クラスの一角がある。
連日のあの並びに辟易するため、なかなか行くことは難しい。
しかし、
「親鶏と三関セリのまぜそば」
と言う危険極まりないメニューは、秋田県人ならずとも、訪れる人を大いに魅了する。
なかには「限定以外食べたことがない」と、不届きな台詞を吐く輩もいるくらいだ。
思うことは多々あるが、今日は「その店」は休みではないことは確認済みだ。
そんな私は、あのMと今まさにこうして県南にいる。
前回は「しな竹」が猛威をふるったこの大仙市で、また一つ選択肢が生まれるのか否か。
暖簾を潜ると、皆が言うようにカウンター4席。
2人掛けテーブルが一つ。
昼営業だと瞬間で満員になるらしい。
店内には常連らしき女性が1人。
ここも恐るべき「限定」を出す店。
「冷やし汁なし担々麺」
「比内地鶏ワンタン麺」
「ガーリックカレーナポリタン」
等々、4番目に至っては最早サッパリ分からんが、店主は、県南以外の人間をも虜にする技術の持ち主。
さて、券売機を確認・・・・・・・・・
えッッ・・・・・・限定が・・・・・・・・
担々麺しかねえッッッッ!!!!!!!
皆さんもご存知「汁有り担々麺否定派」の中核を担う私がとった行動は、これ以外に無かったのだ・・・。
もともと店舗の作りは居酒屋だったのであろう。
照明がキラキラと反射して、いかにもジェニックなラーメンになっている。
私は本日、スタンダードの申し子にならざるを得なかった、と言うことだ。
Mは限定担々麺大盛(ノーマルの担々麺もある)のスープを一口啜りボソッと一言
「美味え・・・。甘えし、酸っぺえし・・・辛え・・・。
いや・・・美味え・・・・。」
なんてウザいんだ・・・。
黙って食えねえのか・・・。
ぬぬぅ・・・・・・・・・・
SYO...U...GA...だ....ッッッッ!!!!!!!
決して強くはないが、美しさえ感じられるほのかな生姜の香りに、醤油の切れ味が素晴らしい。
凄い上品な鶏出汁の吸い物(醤油味)を飲んでいるかのようだ・・・。
「美味え・・・・・・。」
と、私も言ってしまったのは内緒にして頂きたい。
いや、このクラスなら、皆が言うはずだ・・・。
んなッッ・・・・。
なんと・・・ちょい平打ち・・・と来たもんだ・・・!!!!
醤油とプッツン麺との相性は抜群。
しかも、異様に喉越しが良い。
こりゃあやってくれる。
こうなってくると、担々麺以外の限定、が悔やまれるな。
実に味わい深いメンマは、このプッツン麺と一緒に咀嚼することで、歯応えに彩りを与えてくれる。
この太さも、このラーメンにはピッタリだと思う。
久し振りに「低温調理系」じゃないチャーシューを食ったが、この柔らかさ、そして味・・・巧みです!
「もうすぐあがりま~す。」
と、店主から一言。
多少先程よりも「固め」に茹であがった麺が、「一杯で二度美味しい」と言う、何ともありがたい状況を提供してくれた。
プッツンと麺を噛みきり、咀嚼することですると、そこでもプッツン乱舞が発生。
祭りが始まった・・・!!!!!
この、漆黒の味玉は完全なる米案件。
味の濃さがとんでもないので「繊細なスープの味が壊れる」可能性が浮上。
やはり、米の上、もしくは替玉の上、もしくは即一口食い、が理想である。
ごちそうさまでした。
限定が危険な店のスタンダードが不味い訳がない。基礎がしっかりしていなければ亜流は存在しないはず、だからだ。
やはり基礎は大事、馬場さんも生きていれば、そう言うに違いないのだ。
次は鶏つけそばか、それとも限定か・・・。
悩ましいところだな・・・。
「なんか本当に、普通の担々麺には無い味がして・・・ってこの甘いのって何なんですか?」
既にいた女性客が店主に質問する。
やはりスタンダードの担々麺も食べているのだろう。
そして、間違いなく常連だ。
「あぁ、それはですねぇ、ジャム使ってるんですよ。
これです、マーマレード。」
「あぁ!そう言えば、確かに柑橘系ですね!たまにフワッときて、とっても美味しい!」
「ちょっとアジア系の味を足してみたんですよ。砂糖を少量溶かしたナンプラーも入ってます。」
・・・・・・・・・・・・・・・。店主・・・・・・・・オープン過ぎるだろ・・・・・・・・。
ドンッッッッ!!!!
横でスープを一気飲みしたMが豪快に丼を置く。
コイツは大盛りに替玉1玉。
なんだか恍惚溢れる顔面をしているため、無視して店主に挨拶し、外へ出る。
「旨かったですねぇ・・・・。」
「あぁ。今のところは、限定でヤバそうなのが来たら小松で、そうじゃないときはしな竹って感じだな(しな竹はそれくらい旨い)。」
「ところで・・・・・あの甘さは何だったんだ・・・。」
・・・・・・・・・・。
「・・・マーマレード・・・・・・・・。」
「えッッッッ!g13さん!食ってもないのに・・なんで・・・・・!!!???確かに言われてみれば柑橘系だった・・・・・・。」
「お前・・・・・聞いて無かったのか・・・・???」
「え・・・・・美味しいモノを食べているとき・・・
私は大体聞いていないじゃないですか・・・・。」
どや顔言うモンだから、ナンプラーのことは秘密にしよう、そう思ったのだ・・・。
因みにMは帰りのコンビニで
「あの味を思い出して。」
と言っておにぎり2つを購入し、車の中で食っていた・・・・・。
糖尿って、怖いな・・・。
Pちゃんさん!このメンマは「ホロッホロ」の甘めの奴で、飯に移行して食いたいくらいです(長過ぎて乗らないかも・・・)。
kami3sakiさん!熱くなるのもしょうがないんでさぁ!
そして、陸王の店主・・・まさに鬼なんです!